『小型海水淡水化装置』によるPFOS除去
2025.01.15
- 使用シーン
PFOSとは何か
「PFOS(Perfluorooctanesulfonic acid、パーフルオロオクタンスルホン酸)」は、フッ素を含む化学物質の一種で、パーフルオロアルキル化合物(PFAS)と呼ばれる大きな化合物群に属します。PFOSは炭素とフッ素の強い結合を持つ安定な化合物で、疎水性(油や水をはじく性質)と耐熱性を持っています。化学的に非常に安定しているため、分解されにくく、環境中に長期間残存します。
過去には撥水剤や撥油剤、染み止め加工剤、消防用泡(AFFF:Aqueous Film-Forming Foam)や電子製品の絶縁材にも使用されていましたが、現在、PFOSは持続性、蓄積性、毒性のために環境汚染物質として認識されており、2009年にストックホルム条約で「残留性有機汚染物質(POPs)」として規制対象に指定され、多くの国で使用が制限または禁止されています。
PFOSは、主に飲料水や食品を介して体内に入ります。自然界で分解されにくく、土壌、地下水、河川などに蓄積しますので、食物連鎖を通じて動植物や人間に蓄積することが懸念されており、高濃度のPFOSに曝露された場合、肝臓や腎臓へのダメージ、ホルモンバランスの乱れ、発がんリスクの上昇が報告されており、野生生物では繁殖障害や成長遅延が確認されています。
『小型海水淡水化装置』によるPFOS除去
そんな危険なPFOSも、Waquaの『小型海水淡水化装置』のRO膜(逆浸透膜、Reverse Osmosis Membrane)」を通して、効果的に除去できます。
RO膜は非常に微細な孔(約0.1~1ナノメートル程度)を持つ半透膜で、水分子のみを選択的に透過させる仕組みです。PFOSは比較的大きな分子(直径約0.8~1.0ナノメートル)です。RO膜の孔はこれよりも小さいため、PFOSが物理的に膜を通過できません。
また、RO膜は水分子を透過させる選択性を持ち、疎水性のある分子や荷電した分子(PFOSのようなアニオン性分子のスルホン酸基(SO₃⁻)が存在する分子)は排除されやすい性質がありますので、この部分がRO膜との電気的反発を引き起こし、膜を通過しにくくしています。
課題と限界
但し、PFOSを除去した後の濃縮液には高濃度のPFOSが含まれるため、この廃液の適切な処理が必要です。また、 RO膜の性能が劣化すると、除去率が低下する可能性があります。濃縮液の処理や膜のメンテナンスが重要な課題となりますので、PFOSに関するお悩みがございましたら、弊社までお問い合わせください。