大きく発展している海水淡水化技術!!普及の状況について知ろう!!
2024.11.22
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- 導入事例
海水淡水化技術と言うのは、海水を真水にする優れた技術です。私達の生活に必要な水の供給をサポートしてくれる技術であり、海水淡水化技術によって生活が潤っているとも言えます。ここでは、海水淡水化技術の普及状況についてお伝えしたいと思います。
淡水化方式と設置状況について
現在の淡水化プラントの設置状況
現在は多くの場所で淡水化プラントの設置がなされていますが、実用されている淡水化方式の中から、代表的なものが幾つか挙げられます。主に、淡水化プラントで活用されているのは、多段フラッシュ法(MED法)・多重効用法・逆浸透膜法となっています。この3つの方式の中で、多段フラッシュ法、また、多重効用法と言うのは、蒸発法にカテゴリーされます。蒸発法の原理ですが、海水を加熱することによって発生した蒸気を凝縮し淡水を得ます。また、逆浸透法は、膜法の1つで、海水に圧力をかけることによって、圧力のかかった状態の海水から真水のみ透過させることができる特殊な膜を用いて淡水を得ます。
また、その他にも淡水化方式は幾つか挙げられます。方式として、冷凍法・透過気化膜法が挙げられるのですが、実験研究を除いてはこの2つの方式には実施例と言うのはほぼありません。今までの淡水化プラントの記録を参照してみると、世界で初めて淡水化プラントを設置した国はイギリスと言われており、イギリスで1994年に設置されたものが初めての導入と言われています。現在では、1985年にサウジアラのアルジュベールに設置された淡水化プラントが、世界最大の海水淡水化プラントとなっています。46基100万㎥/(日)と広大な多段フラッシュ蒸発法プラントがあります。また、逆浸透法に関しては、イスラエルのアシュケロンで40基約400000㎥/(日)の海水淡水化プラント、アルジェリアで計1000000 ㎥/(日)の海水淡水化プラントが設置されており、とても大きな規模で淡水化プラントが稼働しています。
淡水化方式で最も普及している膜法とは
一般的に海水淡水化と言えば、多段フラッシュや逆浸透膜法による脱塩処理ですが、実は、これらの技術だけでは海水淡水化は成立しません。海水淡水化を正しく行っていくには、その前段である前処理も適切に行う必要があります。海水の取水場所によっても異なりますが、海からそのまま海水を採取した場合には、細かな固形分も一緒に水の中に含まれています。なので、まず初めにこの固形物をろ過分離除去する、これが海水淡水化の始めの作業になります。海水淡水化を行う際に使用されるろ過は、定番の砂ろ過・MF膜・UF膜などが膜処理として一般的になります。海水と言うのは、無機のSS成分や微生物なども含まれているので、これらもしっかり分離除去が行われます。
現在、RO膜を使用した海水淡水化は別名SWRO(Sea Water Reverse Osmosis)とも言われ、世の中に広く普及している技術です。昔は、蒸発法も海水淡水化手段としてスタンダードでしたが、最近はRO膜のコストが劇的に下がったこともあり、RO膜による脱塩処理がスタンダード化しています。海水淡水化で用いられているRO膜は、スパイラル構造と中空糸構造の2タイプが挙げられますが、スパイラル構造タイプの方が多くのシェアを占めています。
RO膜を使用した小型淡水化方式の登場で増々利便性が高くなっている
これまでは、技術的問題によって淡水化装置も大型にならざるを得なかったのですが、現在はこれまでにない小型化を実現しています。しかも、小型化されてもしっかりと浄水飲用レベルも満たしており、きちんと塩分除去を行うことができる機能も備わっています。また、今までにはあり得なかった持ち運び可能な淡水化装置も登場しており、発展途上国はもちろん、水不足地域や様々な建設現場などへも大きな変化を与えています。例えば、海沿いの現場の場合、塩害で仕事に大事な機材が直ぐ錆び付いてしまい、駄目になってしまうことがあり、建機レンタル会社も貸し出しを拒むこともあります。高額機材を長持ちさせていくには、現場で付着してしまった海水を素早く洗い流すことが重要です。そこで、小型淡水化方式が役立ってきます。小型淡水化方式があると、その場で真水確保が可能になるので、洗浄時間に悩む必要も無ありません。また、浄水された水と言うのは、味も美味しいことはもちろん、厚生労働省の水道法基準値をしっかりクリアしている水になるので、機材洗浄目的をはじめ作業員の飲み水確保も可能で、小型淡水化方式には色々な利便性が挙げられます。
世界の状況について
淡水化プラントの全体状況
世界の海水淡水化・かん水淡水化・超純水用脱塩など、淡水化の需要に関して見てみると、ここ20年の間にどの程度変化してきているかみていきたいと思います。少し前に遡りますが、1945年~2005年までの変化を見てみると、中東湾岸諸国・地中海沿岸・北アフリカなどの需要が増加したこと、また、既存の施設を更新する需要が増加したこと、これらの変化によって1945年~2005年末の契約で4700万㎥/(日)と増加傾向を辿っており、2005年における淡水化プラントの運転開始だけで見ると、4000万㎥/(日)と成長を遂げています。それ以降、毎年200万㎥/(日)が続いており、2010年までにも平均年率として10%以上の割合で稼働率が伸びてきており、2010年で6300~6400万㎥/(日)、2015年で9400~9800万㎥/(日)と、このように年々大きく成長しながら現在に至っていきています。
特に、淡水化事業が進んだ要因に、逆浸透法が世界で急速に増加してきたことが挙げられます。逆浸透法の増加によって、2005年末で逆浸透法は蒸発法を抜いて世界全体で50%以上の稼働となっています。淡水化の原水と言うのは、海水・かん水・河川水などが使用されており、その中でも海水・かん水が淡水全体の約80%を占めています。
海水・かん水の淡水化の状況
淡水化プラントの中で、原料に海水・かん水を用いている施設に限定して焦点を当てた際の、世界の稼働率を見てみると以下のことが挙げられます。地域で見たところ、中東が約60%、北米12%、欧州12%、アフリカ7%、アジア3%、中南米が3%程度を占めています。最も多く淡水化が進んでいる地域は中東となっています。
海水淡水化の将来性
今後、海水淡水化技術はさらに重要な役割を果たすと予測されています。特に、気候変動による水不足の地域では、淡水化技術の需要が高まることが予想されます。これにより、より効率的で低コストな淡水化技術の開発が進むでしょう。例えば、逆浸透膜の技術が進化することで、エネルギー消費量を減らし、淡水化のコストをさらに低減させることが可能になると期待されています。
また、再生可能エネルギーを利用した海水淡水化が注目されています。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー源を活用することで、海水淡水化プロセスのエネルギーコストを削減し、環境への負荷を減らすことが可能になります。これにより、持続可能な水供給が実現し、特に水不足に悩む発展途上国での導入が加速することが期待されています。
さらに、小型化技術やモジュール化された淡水化システムが普及すれば、家庭や小規模コミュニティにおいても海水を真水に変換することができるようになり、水供給がより地域密着型で行われるようになるでしょう。
まとめ
海水淡水化技術は、今後ますます重要な技術となり、世界中で普及が進むと予想されています。特に、技術革新と再生可能エネルギーの活用により、より低コストで効率的な海水淡水化が実現するでしょう。水不足が深刻な地域や、災害時の水供給の確保など、さまざまな場面で海水淡水化技術の役割が期待されています。今後の技術革新が、世界の水問題を解決する一助となることを願っています。